最終更新日 2025年8月6日
1.様々な現物投資のなかで比較する金投資への魅力
金は安定した投資先のように言われることが多いですが、金の価格は大きく変動します。
しかし、紙幣と違ってゼロになることはないので、その意味では安定した投資先とは言えるでしょう。
その昔は現物への投資には、チューリップの球根というのもありました。
土地に投資する人もいます。
チューリップの球根というのはあり得ない話のようですが、一時期はヨーロッパでブームになっており、多くの人が夢中で投資しました。
しかし、値上がりが期待できるから奪い合っただけであって、欲しがる人がいなくなればチューリップの球根自体に価値を感じる人はほとんどいないでしょう。
土地も、かつては原野商法などと呼ばれるものもあり、インフラが何も整備されていない原野であっても、土地であれば価値があるとして、数十年前の日本で高く取引されたものです。
しかし人口が減少し始め、不動産余りが加速している現在では、土地であれば価値があると感じる人はほとんどいなくなっています。
持っていれば固定資産税がかかるため、使い道がない土地を手放したくても、買い手がいなくて手放せないという状況も多く見られるようになっています。
しかし金はそうではありません。
金はキャッシュよりも、不動産よりも確実な価値を持つものと考えられることが多いです。
装飾品として魅力的なだけでなく、金属の素材としてもすぐれた特性をもつ素材ですから、科学技術の進歩によって素材としての需要も高まっており、価値が大きく下がることはないと考えられています。
装飾品ではダイヤモンドやルビーなども高く評価され、キャッシュが価値を持たなくなるような混乱期でも誰もが価値を認めそうな品ではあります。
2.金の価格変動はどうなのか?
ただゴールドの場合は、加工がしやすいという大きな特性があり、細かくしようが大きな塊にしようが、単位当たりの価値は同じというメリットがあります。
ダイヤモンドは大きいほうが、価値が高く評価されます。
細かくしたものをくっつけて大きなダイヤモンドにできるようになったとしても、天然の大きなダイヤモンドにはかなわないでしょう。
金にはそうしたことがないのも、大きな魅力です。
そうしたこともあって、投機の対象として取引されているのでしょう。
ただ、価値がなくならないという面では安定していても、価格は大きく変動します。
1973年にはグラム当たり693円になったこともありましたが、1980年には6,495円にもなり、わずか7年で9.4倍にもなっています。
7年で9.4倍ですから、安定した値動きとは到底言えません。
その後1999年には917円にまで値下がりしました。
右肩上がりで値上がりし続けるというものでもなく、上がったり下がったりする商品です。
2013年には5,084円にまで値上がりしましたが、1999年に917円まで値下がりした後に、ここまで値を戻すということが読めた人は少なかったでしょう。
値動き自体は、投機の対象になっている土地並みの激しさです。
安定した投資先ということで選んだ場合、値動きの激しさに驚くということもありそうです。
3.過去の金の価格変動
銀行に預けるのとは異質のものであり、投機と考えたほうが良いほどの値動きです。
2013年に5,084円まで値上がりしたあと、翌年には4,142円まで値下がりし、そのまま再び1,000円割れするかと気をもんだ人も多いことでしょう。
その後はずっと4,000円台をキープし、安定した値動きになっていますが、安定した値動きである時期は、むしろ珍しいと考えたほうが良さそうです。
1991年から2004年までは、ゴールドは2,000円未満のままで推移していましたから、安いということでは安定してはいました。
低価格のまま推移していたその13年間、2013年に5,084円にまで値上がりすると、誰が予測できたでしょう。
2014年から2018年までは4,000円台をキープしており、高止まりとなっています。
今後どうなっていくかについてはさまざまな人が予想を立てていますが、1973年につけた693円に向かう可能性もあり、1980年につけた6,495円に向かう可能性もあります。
短期の予想で的中させ続けた人が、長期予想も当たるとは限りませんし、今後の値動きは各人が予想していくしかありません。
ゴールドリンクはゼロにはならない商品として、商品先物取引でも人気ですが、意外に値動きが激しいということは知っておいたほうが良さそうです。
人によっては現物なら、安くなっても装飾品に使えるからいいと割り切ることもできるでしょう。
一方、投機の対象として見ている場合はそうもいきませんから、値下がりの可能性を常に考えておく必要があります。
1980年の6,495円から1999年の917円まで値下がりして行った過程では、底なしのようにも見えたことでしょう。
その後ずいぶん値上がりはしましたが、まだ1980年の6,495円には戻っていません。